概要

土地所有者の過剰な負担とリスクを低減する、天然鉱物系吸着材(ゼオライト、炭酸塩鉱物、風化粘性土)を用いた低負荷型・低コストのオンサイト工法です。

シーリングソイル工法®は
天然鉱物資源がもつ機能と反応を利用して汚染土壌中の重金属等を地化学的に封じ込め、環境基準以下に改良する技術です。
天然鉱物資源を改良材とするため、低コストと低負荷と高品質を同時に実現しました。
画期的な改良工法と高い評価をいただき、各地の公共事業でも採用されています。
「土壌汚染対策法」施行後でも、含有基準以下で環境基準を超える重金属等、汚染土壌の改良には大いにコストパフォーマンスを発揮します。

原理

主な原材料

シーリングソイル工法®では、天然の鉱物と粘性土を利用します。

天然ゼオライト:モルデン沸石、斜プチロル沸石、天然の粘性土:低結晶性ハロイサイト、低結晶スメクタイト、緑泥石等 ドロマイト及び鉄・アルミニウムの処理物等

反応過程

シーリングソイルシステムの反応過程では、土壌中の汚染物質と複合素材との接触後、時間の経過に従って汚染成分が順次吸着・固定化されます。
更に長時間を経て高度に結晶化するに伴い重金属等の汚染物質を強固に固定化することが期待できます。

特徴

設計

汚染土壌の特性(鉱物組成や汚染濃度等)にもとづき、汚染物質の地化学的封じ込めが効果的に起こるための最適条件設定、すなわちゼオライトや炭酸塩鉱物、風化粘性土の種類と各添加量を決定します。
汚染土壌に対して改良材の混合率を変えた複数の試作試料の溶出試験により、固定化の進行と効果をくり返し検証します。
また、必要に応じて汚染サイトで実際の汚染土壌と機材を用いて、現場実証試験をおこない検証します。

施工方法

都市部における不溶化工法

自然由来の汚染土壌対策

建設工事に伴う発生土の形態や重金属の含有量・溶出量を考慮し、地形や水系などのサイト条件に応じた安定性と費用効果の高い措置をおこないます。

不溶化層工法

不溶化完了ずり(細粒ずり)を下底に布設し、上位に岩塊ずりを層状に敷き均します。
岩塊ずりの有害重金属含有量を考慮し、細粒ずりの不溶化処理に併せて適正な吸着量をもたせます。将来にわたる有害重金属の溶出を防止するため、岩塊ずりの間隙に可能な限り粘性土を充填し中間覆土により通気・通水性を抑制します。吸着材を混合した粘土による表面覆土と被覆植栽をおこない表面に緩やかな勾配をつけ雨水が表面を流化するよう成形します。

吸着層工法

安定した埋設予定地では、下底に適正な吸着量をもつ吸着材を敷き均し、上位に全量の発生土(ずり)を静置します。

改良例

改良単位(ロット)ごとに改良前後の試料を採取して、簡易分析法により現場で改良品質のおよその評価をおこない、さらに同試料を公定分析法によるクロスチェックで品質の厳密化を図りました。
改良土の砒素溶出量は簡易分析法でも公定分析法でも全て検出限界未満で、本工法による砒素汚染土壌の改良結果は極めて良好です。

品質管理

現場分析・品質管理

混合が完了した1改良単位(ロット)ごとの改良土から複数の試料を採取し、簡易分析が可能な物質については現場分析により短時間で改良品質の概要を把握します。
さらに、改良土100~300m3ごとに1試料を公定法分析し、対象の汚染物質が基準以下におさまっていることを確認します。

オンサイト分析車による現場分析
砒素検知管による改良前後の簡易分析結果

汚染地下水処理・モニタリング

重金属汚染土壌の改良工事では、一般に汚染した地下水や洗浄水の浄化処理をともないます。汚染サイトに適したシステムを構築し、環境基準以下まで浄化して一般環境に放流します。
周辺の自然バックグランドを含め土壌汚染および地下水汚染等について、施工前後のモニタリングをおこないます。

重金属汚染地下水の浄化処理