シーリングソイル工法 についてのご質問

重金属汚染 についてのご質問

シーリングソイル工法についてのご質問
  1. 揮発性有機化合物(VOC)やダイオキシン・油の汚染対策には有効ですか?
  2. セメント固化法の方が低コストではありませんか?
  3. 公設研究所の研究報告書に重金属対策にゼオライトは効果がないとありましたが?
  4. 含有量を低減する浄化工法が安全ではないのですか?
  5. 新法では含有量が規準になるので、含有量そのものが低減しない工法は有効な対策ではないのでは?
  6. 防塵など対策施工時の環境対策はどうなっていますか?
  7. シーリングソイル工法®の短所や改善点はないのですか?
  8. どの程度の汚染濃度まで有効ですか?
  9. 新鉱物中に微量元素が封じ込められるまでどの程度の時間が必要なのですか?
  10. 地科学的な封じ込めが不完全で溶出する心配はないのですか?
  11. シーリングソイル工法®による改良サイトのモニタリング例はありますか?
Q1 揮発性有機化合物(VOC)やダイオキシン・油の汚染対策には有効ですか?

残念ながらVOCやダイオキシン・油などの有機物汚染には本工法は適用できません。
ただし、ゼオライトは脱臭機能もありますから、油汚染土壌対策時の防臭対策には利用できます。
なお、これら有機物汚染土壌の対策技術についてはシーリングソイル協会員(会社)が独自技術を保有していますので、HPからリンクしてそちらに直接お問い合わせ下さい。

Q2 セメント固化法の方が低コストではありませんか?

セメント固化法の施工費は1m3当たり数千円ですから、重金属汚染土壌の改良に各地で広く普及しています。
しかしながら、施工現場の事例ではセメント固化法には次のような問題があります。
1. 土壌のpH値が上がりすぎて植栽が制限される。
2. 地盤強度が上がりすぎて重機工作に適さない。
3. 固化直後は基準をクリアしていたがその後再溶出した。
これらの問題はいずれもセメント固化法では避けてとおれないものです。
鉛や砒素など両性金属類ではpHが下がりすぎても上がりすぎても溶出し易くなりますから、
pH値が10を超えるセメント固化法では再溶出する可能性があります。
実際にセメント固化法で処理した汚染土壌から砒素が再溶出したために、改めて実施した詳細な工法比較結果にもとづいて本工法が採用された事例があります。
シーリングソイル工法®では改良後のpH値は10未満であり、物理的にも化学的にも“土”の性状を維持するため上記のような問題は発生せず、土のリサイクル・リユースも可能です。

Q3 公設研究所の研究報告書に重金属対策にゼオライトは効果がないとありましたが?

ゼオライトを利用する本工法の効果に対してよくいただく疑問です。
本工法はゼオライト単体による固定化を原理としているものではありません。
短期的な重金属等の固定化のためゼオライトの吸着機能を利用していますが、
その他に火山性風化粘土に多く含まれるアロフェンやイモゴライトの吸着機能等を併せて利用しています。
各種の天然鉱物がもつ吸着反応・陽イオン交換反応・新鉱物相形成反応を総合的に利用して、
効率的な混合率と手順によって重金属等を地化学的に封じ込めるわけです。
したがって、ゼオライト単体による固定化と本工法の地化学的封じ込めとは最終的な反応原理が異なりますから、ゼオライト単体による吸着実験結果のみで本工法と比較することは適当ではありません。

Q4 含有量を低減する浄化工法が安全ではないのですか?

Q5と連動しますが、含有量そのものを減少させる浄化工法(洗浄法、熱処理法、電気分解法、揚水法など)は確かに原理的には安全で有効な対策です。
しかしながら、土粒子と重金属類は、化合、吸着、イオン交換、膠結など様々な形態で比較的強く結合していますから、広大な土地と大量の土を対象に含有基準まで下げることは容易ではありません。したがって、工期・コスト・品質面で十分かつ慎重な検討が必要と言われています。

Q5 新法では含有量が規準になるので、含有量そのものが低減しない工法は有効な対策ではないのでは?

確かに本工法は含有量そのものを低減するわけではないため、含有量基準を超える重金属汚染土壌は法的には改良対象になりません。
しかしながら、含有量基準以下であって溶出量が溶出量値II(環境基準の30倍)以下の汚染土壌に対しては、本工法は極めて有効でコスト的にも現実的です。
工法選択に当たっては汚染サイトを一括して検討しないで、十分な調査にもとづいて含有基準を超える部分のみを掘削除去あるいは浄化工法、溶出量値II以下の部分は本工法で改良するなど、対象物質や汚染濃度にあわせて複数工法の組合せが効率的なコスト対策となります。

Q6 防塵など対策施工時の環境対策はどうなっていますか?

汚染土壌や天然鉱物の粉体を扱うため、本工法の施工時は防塵対策・防音対策始め工事の安全環境全般にわたり十分留意しています。
とくに防塵対策として、改良材を汚染土壌の間にサンドイッチ状に挟むことや、風で容易に飛散しない粒度調整などをおこなっています。

仮舗装の混合レーンと防音壁・防塵ネットで仮囲いした改良ヤード
粒度調整した混合素材、土壌と混合して速やかに粒状が壊れる
Q7 シーリングソイル工法®の短所や改善点はないのですか?

短所としては下記の点が上げられます。
1.薬剤による化学反応ではなく新鉱物相形成反応のため、汚染物質によっては地化学的封じ込め(無害化)の完成までに時間を要する場合がある。
2.鉱物資源の混合状態に偏在や不均質があると、完成までの時間むらおよび品質むらが生じることがある。
3.鉱物資源の混合率によって、土量が10~15%程度増量する。
汚染土壌対策では、汚染物質と汚染土壌(地層)共にその不均質性を考慮しなければなりません。
品質むらが生じないよう改良材の添加率管理には、改良単位を小分けするなどして十分留意しています。
また、混合は数回に分けて丁寧におこない、場合によっては処理速度をおとしたり再攪拌するなどして均質性確保に努めています。

Q8 どの程度の汚染濃度まで有効ですか?

含有量は低減しないため汚染濃度は溶出量となりますが、混合する天然鉱物の量を増すことによって理論的にはどのような汚染濃度にも対応できます。
しかしながら改良後の土量が大幅に増大するのでは有効な対策工法とは言えません。
したがって、土量の増加率を最大でも20%以内(通常は10~15%程度)に留めることにしていますが、
これまでの実験や実績からして汚染濃度が環境基準の100倍程度なら容易に基準以下まで改良できます。

Q9 新鉱物中に微量元素が封じ込められるまでどの程度の時間が必要なのですか?

石膏や方解石のような炭酸塩鉱物では数時間や数日で結晶ができることもありますが、
珪酸塩鉱物が完全に結晶化するまでには一般的には数年から数十年あるいはそれ以上の長期間を要します。
結晶ができるのは長期間にわたる反応ですが、結晶化がすすむ途中過程においても重金属イオンは徐々に取り込まれていきます。
その間は、ゼオライト等の吸着反応や陽イオン交換反応により重金属等を固定化していますから再溶出することはありません。
結晶化の検証には長時間を要しますが、本工法の最初の施行例からするとすでに8年を経過しており、
実績においてその地化学的封じ込め効果は十分検証されていると言えます。

Q10 地科学的な封じ込めが不完全で溶出する心配はないのですか?

この工法は単なる固定化効果を越えて、高度に結晶化する珪酸塩鉱物中の微量元素として重金属等を地化学的に封じ込める方法です。
身近な例では、宝石のほとんどはケイ酸塩鉱物であり、青や赤の美しい色は封じ込められた微量の金属イオンがもたらしています。
宝石の中に封じ込められた金属イオンが溶け出し色が失われることは無いことからも、この工法の原理と効果が理解されます。

Q11 シーリングソイル工法®による改良サイトのモニタリング例はありますか?

シーリングソイル工法®の最初の施工例は平成7年ですから、すでに10年を超えています。
周辺に地下水汚染が認められた廃棄物処分場の対策として、重金属浄化機能をもったシーリングソイル工法®による遮水壁を施工し、
現在まで地下水モニタリングが継続されています。
また、不法投棄された六価クロム汚染残土の改良サイト(平成11年)では、
近傍に地下水を利用している民家があるため当該市により地下水モニタリングが実施されています。
両サイト共にその後地下水汚染の報告はありませんから、
シーリングソイル工法®による改良効果はすでに4~8年の地下水モニタリングにより検証されていると言えます。
2003年2月に施行された土壌汚染対策法では改良後2年間の地下水モニタリングを義務づけていますが、
汚染土壌改良サイトにおいて法施行以前から2年以上モニタリングしている事例は他には極めて少ないと思われます。
したがってシーリングソイル工法®は最近の俄工法とは異なり、
すでに10年以上の実績がしめす信頼と安心の技術として評価されています。

重金属汚染についてのご質問
  1. 土壌汚染を改良して再利用しても良いのですか?
  2. どんなところに重金属汚染はみられるのですか?
  3. 安価で安全な重金属汚染土壌の措置対策は何ですか?
Q1 土壌汚染を改良して再利用しても良いのですか?

わが国では重金属のバックグランドが高い地質が多いため、ダムやトンネル・道路・橋などの公共建設工事に伴って、自然的原因の重金属汚染土壌が発生することが少なくありません。自然的原因の汚染土壌は土壌汚染対策法の適用対象外ですが、通達(環水土第20号)では「適切な対応が図られることが望ましい」とされています。したがって、公共建設事業で発生した自然的原因の重金属汚染土壌はシーリングソイル工法®により適法・適切に改良され、道路盛土材、堤防築堤材、植生土などとして有効に再利用されている例があります。
土のリサイクル(Recycle)・リユース(Reuse)は、建設現場から廃棄物を出さない(ゼロエミッション)理念と一致すること、工事予算の減少傾向の中で効率的な環境対策が可能なことなどから、改良後も土壌の形質を保持するシーリングソイル工法®の採用と検討が各地の公共建設事業で相次いでいます。
公共建設事業にかかわらず、自然的原因の法定外重金属汚染土壌まで高価な除去や浄化による対策を図らねばならない義務はなく、シーリングソイル工法®により適切に改良し埋戻しや再利用が可能です。
都市圏の地下にも自然的原因で重金属を含む地層が広く分布しますから、詳細な調査によって含有量基準を超える汚染土壌や人為的な汚染土壌は限定して除去工法や浄化工法、自然的原因の汚染土壌は安価なシーリングソイル工法®で改良し再利用することにより、一層効率的な対策費用の運用が可能となります。なお、土壌汚染対策法に基づいて汚染指定区域に指定された土地は、固定化工法(シーリングソイル工法®を含む)により改良し2年間のモニタリング後に基準をクリアしても、措置の完了にとどまり指定は解除されません。

Q2 どんなところに重金属汚染はみられるのですか?

わが国には自然濃集した重金属を含む地質が各地の山地に分布するため、浸食・運搬された砕屑物が下流域の河川沿いや平野に堆積して、都市部地下における自然的原因の重金属汚染土壌となります。
鉱山開発は下流域の農用地に住民の健康被害を含む甚大な重金属汚染をもたらし、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(1970年)」の制定につながりました。金属鉱石は1960年代以降の高度成長期に工業原料として工業地帯に運ばれ、精錬滓などの廃棄物が近年になり都市圏における二次的な重金属汚染となって顕在化しました。
業種別では金属製品製造・化学工業などの工場や跡地で重金属汚染例がとくに多く出現しています。さらに工業製品となって利用された重金属は、消費廃棄によって廃棄物処分場周辺において三次的な重金属汚染の要因となっています。
このように重金属汚染は資源循環サイクルの中の一現象であるため、第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)や第三種特定有害物質(農薬等)と異なり、重金属汚染土壌は都市部ばかりでなく広く地方にも出現するのが特徴です。ダムやトンネル・道路・橋など各地の公共建設事業に伴って、重金属汚染土壌が発生する例が増加しているのもこのためです。

Q3 安価で安全な重金属汚染土壌の措置対策は何ですか?

重金属等(第二種特定有害物質)を含む汚染土壌の措置対策は、含有量と溶出量にもとづいて適切な工法を組み合わせることがコスト効果にとって最も重要です。
1.高濃度汚染土壌(含有量が含有量基準の数倍以上)は、浄化工法でも含有量基準まで減量できないため、掘削除去し中間処理を経て処分場処理が安全です。
処理費が高価なため、詳細調査により対象土量を最小限に限ることがポイントです。
2.中濃度汚染土壌(含有量基準不適合で第二溶出量基準不適合)は、洗浄工法により含有量と溶出量を基準適合まで低減し、
残留した重金属等が再溶出することがないよう、シーリングソイル工法®により固定化するのが将来にわたって安心です。
3.低濃度汚染土壌(含有量基準適合で溶出量基準不適合)は、長年実績のあるシーリングソイル工法®で重金属を固定化し、溶出量基準に適合させることで十分です。
ただし、含有量と溶出量の基準をともにクリヤーしても、土壌汚染対策法の汚染指定区域に指定された場合は解除されません。
4.土壌汚染対策法適用外の自然的原因の汚染土壌には、シーリングソイル工法®は適法適切な措置対策です。
都市部の地下には重金属等を含む自然地層が広く分布するので、自然的原因の汚染土壌と人為的汚染土壌の境界決定が大切です。